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円高と海外進出

ZEROで企業の海外進出についての映像が流れた。自動車部品をつくる工作機械メーカーが、昨年から続く円高に苦しんだ結果、タイへ進出するという話だ。そこで、社長が懸念していた技術の現地国への流出に対して、高度な技術を要する一部の作業は日本に残すという対策を取っている別の企業が紹介された。
日本の経営者の方々は、今後の国内マーケットは将来縮小へ向かうというビジョンを持っていると思う。人口動向は将来的経済成長の重要なファクターであり、高齢化・少子化をとめることができない日本では、過去経験したような経済成長(量的な拡大)は今後ないと言える。すなわち、モノを作るうえでその原価の大部分を占める労働力およびエネルギーを欠く日本では、大量生産による薄利多売という国家戦略はフィットしない。質で勝負するしかなく、付加価値の高いモノを作りだす以外、子供たちの輝かしい未来はないのである。
円高が固定化すれば、相対的に付加価値の低い作業は海外へ流れ、相対的に付加価値の高い作業は国内に集積されることになる。言い方を変えれば、円高の継続により、日本は高い付加価値を生み出す人材に適した環境へと変化せざるをえなくなっていく。具体的には、バイオテクノロジー、IT、金融、環境(省エネ)技術といった産業は労働者一人当たりの付加価値が高く、円高が継続した後の日本において経済成長の中心となると想定される。現に、ベンチャーキャピタルは、こうした産業に属する企業への投資割合が高い。
政府の円高容認は、国内の低付加価値作業を海外へ追いやり、高付加価値作業へ国民全体をシフトさせるという意味を持つ。戦後の復興を成し得た父母の世代に負けないように、昨日よりも今日進歩することを目標(より高付加価値を創出できるように)に円高を乗り越え、子供たちへこの豊さを伝えていきたい。