業界の危機
公認会計士の資格を持ちながら監査法人ではなく上場企業などで働く「企業内会計士」が、この5年間で3倍に増えたらしい。
これは見方を変えれば、公認会計士業界の魅力が減少してきているとも思える。
昨今の会計不祥事を経て、過去の業界と決別し厳格な監査を達成すべく、業界全体で手続を標準化してきた。しかし、ここに来て、その副作用として公認会計士としての創造性を奪われ、様々なビジネスにフレキシブルに対応する能力を教育研修することが、業界全体として後回しにされてきたとも言える。
優秀な人材は、経済的なリターン以上に、創造性を発揮し、自らの知的好奇心を充たすことを欲する。
この傾向が業界内で継続した場合、優秀な人材の業界への流入が止まり、公認会計士制度の存続が危ぶまれる状態に早かれ遅かれなるだろう。
資本市場における社会的インフラとしての監査を担う公認会計士の存在意義を、政府、経済界、学術界、公認会計士業界で再度深く検討すべき時期に来ている気がする。